思考を整え集中力を高める練習 マインドフルネス

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今回は、小西喜朗さんの著書「思考を整え集中力を高める練習」をご紹介します。

小西喜朗さんは、1984年に京都大学工学部を卒業後に出版社勤務、その後、メンタルヘルスの世界へ入られて、ウェルリンク・メンタルヘルス研究所所長を経て、現在はマインドフルネス実践会の代表、精神保健福祉士、産業カウンセラー、ウェルリンク株式会社顧問として活動されている方です。

小西さんが顧問をされているウェルリンク株式会社は2015年に労働安全衛生法で義務付けられた企業内ストレスチェックをサポートしている団体ですので、皆さんの会社でもお世話になった方がいらっしゃるのではないでしょうか。

この本との出会い

さて、この本との出会いは、先日あるスーパーで食料品の買い物をした後にふらっと本屋に立ち寄ったときにふと目に入ったのがこの本でした。

最近特にビジネス系タレントから「瞑想」「マインドフルネス」という言葉をよく耳にするようになりました。

私は朝晩に、枡野俊明さんの著書で学んだ曹洞宗方式の座禅(いす座禅)を行っています。マインドフルネスでも座禅と同じような型で瞑想を行うということを何となく知っていましたが、「座禅」と「瞑想」、「禅」と「マインドフルネス」どう違うのか?知りませんでした。今回、偶然立ち寄った本屋で見つけたこの本で、少しだけマインドフルネスに触れることが出来ましたのでご紹介します。

各界のリーダーがとり入れるマインドフルネス

マインドフルネスというとGoogle(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)などの著名なIT企業が積極的に社内に取り入れていることでことで知られている。この本では特にGoogleが社内研修に取り入れていることが紹介されている。また、Apple創業者のスティーブ・ジョブスはが曹洞宗の乙川弘文老師に師事し禅に傾倒していたことも紹介されています。

さらに著名なスポーツ選手、テニスのジョコビッチ、バスケットボールのマイケルジョーダン、現在もまだドイツで活躍するサッカー選手の長谷部さん、日本の誇りであるあのイチローさんもマインドフルネスを取り入れられたそうです。

リラックスしながら集中力を高め、思考を整え、冷静な判断力を高める。これは無駄な努力をしないことでもあり、究極の効率化でもある。だからこそ、世界のエリートたちはマインドフルネスに注目する。(P30)

やはり、ハイパフォーマンスを生み出すため何かがマインドフルネスにはあるようです。

マインドフルネスの状態とは?

心のギアをニュートラルでフラットな状態がマインドフルネスの状態だと紹介刺されています。
今はオートマ車が主流なのでマニュアル車のギアチェンジといってもイメージできない人も多いと思いますが、私は若いころマニュアル車を乗り回していたほうなので、この表現がしっくり腑に落ちました。

加速するときはエンジンの回転数を上げてシフトダウンして加速。巡行スピードで進むときはシフトアップしてエンジン回転数を落としてスムーズに進む。バックしたいときにはバックシフトに入れる。スピードが出過ぎた時はシフトダウンしてエンジンブレーキを使う。これ全部ニュートラルポジションからシフトチェンジするんですね。ニュートラルポジションからどこにでもシフトチェンジできるこのがマインドフルネスの状態だというのです。なるほど。

集中と拡散、快楽と苦悩という対比のなかでどちらに偏るのでもなくちょうど中間の中庸の状態。「たんたん型」と表現されていますが、この状態がまさに心のシフトチェンジができるニュートラルなマインドフルネスの状態なのだということです。

「今、ここ」の自分に気づく

このニュートラルな心の状態を「今、ここ」という表現を使っています。禅語でいう「而今」ですね。やはり禅とマインドフルネスはかなり近い存在のようです。

次に、マインドフルネスの瞑想の仕方について丁寧に紹介されています。型づくり、呼吸法、心の動き、雑念への対処、ここでも私は座禅とほぼ同じだと思いました。
違いといえば、手の形を法界定印にするか、ひざの上に広げて乗せるかの違いだけでしょうか?(間違っていたらごめんなさい)

そして、次のセンテンスがこの本での重要ポイントだと思います。「今、ここ」の意味を丁寧に解説されています。本文を引用します。

マインドフルネスに触れる人たちや「今、ここ」という言葉をよく使う人たちのなかには、過去や未来のことを考えるのが悪いことのように思う人もいる。しかし、そんなことはない。断じてない。・・・・・(中略)・・・・・・・・・
過去の出来事を評価しているのは「今、ここ」での自分である。その出来事がどのような出来事であっても、その価値を決めているのは、「今、ここ」の自分である。あなたが、いつ、どこにいて、何を考えていようとも、それは紛れもなく「今、ここ」での出来事である。このことに気づいていることが、「今、ここ」に生きているということだろう。(P123~124)

この引用文だけだと誤解を生む可能性もあるので、ぜひ本文を読んでほしいと思います。前後の文と中略も含めて読まないとその意味が正確に理解できないと思います。「今、ここ」そして禅語の「而今」の解釈としても腑に落ちる説明がされています。

マインドフルネスを日常生活で生かす

マインドフルネスを実践すると、ニュートラルな心からその時の自分の感情に気づくことができる。そして心の動きをコントロールできるということです。これを大空に浮かんだ凧に例えておられます。本文を引用します。

凧が高くあがるにつれて、雄大な風景が見えている。だからといって、糸が切れてしまっては、凧はどこに飛んでいくのか、分からない。呼吸の意図がちゃんと自分とつながっていることにも気づいている。このとき、青空のなかをゆったりと舞う凧には、流れる雲やいろんな風景を見渡すことができるだろう。それが五感から来る情報や思考、感情の動きだ。(P167)

食事をじっくり味わう。ということも禅と同じ考え方ですが、ひとつ面白い食事のときの生活瞑想法がひとつ紹介されていました。著者の小西さんが実践されている「お箸ワーク」です。その部分を引用します。

お箸をとる行為に注意を向けることで、その後の食事に注意が向く。ここから、ゆっくり味わって、よく噛んで食べるという行動の変化が起きる。さらに食事への感謝の気持ちまで現れるくることもある。(P185)

これが超かんたんに取り組める生活瞑想の実践法なのでお勧めです。本文にそのやりかたが詳しく書かれていますのでぜひ読んでみてください。

「することモード」と「あることモード」

マインドフルネスは究極のストレス対処法として紹介されています。

「することモード」とは何かの目的に向かって思考や行動が連鎖する自動操縦の状態。
すなわち、目的に向かっているときの予想外の出来事がストレスになる。

「あることモード」とは評価や判断を手放すことで、あるがままに出来事を受け取るマインドフルネスの状態。すなわち、理想と現実のギャップが存在せず、すべてがそのままでOKな状態。だからストレスも存在しない。

この前提をもとに小西さんはストレスへの究極の対処法とは「することモード」から「あることモード」へスイッチすることだと説明されています。本文を引用します。

確実な未来など存在しない。思い通りにいかないこと、予測不可能な出来事は必ず起こる。とくに、情報環境が急激に変化する現代では、むしろ予想外の出来古語のほうが多くなっているのかもしれない。ここに理想と現実のギャップが生まれ、そのギャップを埋めるために、ストレスが生じる。(P221)

マインドフルネスでは、自身のなかに生じた「思考」や「感情」、「行動」に気づくことが一番のポイントとなる。自分の行動目的に気づき、その目的をいったん手放すことで見えてくることがある。特定のゴールに向かっているときには、見えなかった出来事が亜綾香に姿を現す。この全体視からこれまで気づかなかった可能性が「再結晶化」し、新たな道が開けてくる。(P221~222)

マインドフルネスと禅

この本を読んで、当初の疑問であった、マインドフルネスと禅はどう違うのか?という私の疑問の答えを見つけること比較すること自体にあまり意味がないと感じました。

マインドフルネスと禅の違いをもっと突き詰めたいという方はネット上にもいろんな方がいろんな角度から説明されていますのでその情報を見ればいいと思います。

強いて言いますと、禅は宗教でありそのなかで悟りを開くために座禅がある。マインドフルネスは「気づき」を得ることであり、その「気づき」を得る手法として「瞑想」がある。といったくくりになりますでしょうか。

この本ではマインドフルネス第一人者でマインドフルネスを世界に広めたジョン・カバット・ジン博士にも触れられています。博士はもともと禅に師事されていてその学びからマインドフルネスを開発しその普及に生涯をささげたとされています。だから、禅とマインドフルネスはもともとのルーツは同じなのです。

この本をどうやって活用するか

座禅のほうがいいとかマインドフルネスのほうがいいとか、どちらかを選択するようなものでもないと思います。

ただ、この本では瞑想することについて心理学的な要素をふんだんに取り入れて詳しく説明されています。どんな心構えで取り組めばいいか、どのように取り組めば効果が得られるのか、その効果とはどんなものなのか?を理論的に説明されています。そういう意味では、法曹界の方が出版されている座禅の著書とはかなり違います。

だから、法曹界の方の禅の書籍、座禅の書籍と、この本の両方を読んで学んで、その中から自分なりにしっくりくる座禅や瞑想の型を取り入れて実践していけばいいのではないでしょうか。

私は、今回の本で学んだマインドフルネスの「気づき」を取り入れて、今までの曹洞宗の座禅の型で瞑想を続けていきたいと思います。

この本は、ストレスを抱えるサラリーマンや座禅をすでに行っている方にもおすすめの一冊です。ぜひ手に取って読んでみてください。

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